熊本県天草地方の言葉を紹介すっぞ(紹介しますよ)

天草の言葉(方言)やら、風やら海やらを語り合いましょう。皆様からも天草の言葉の情報をお待ちしてます。

天草の言葉 「さしすせそ」篇

天草弁索引

天草の言葉、「さしすせそ」です。

 

言葉 意味 用例

補足

そろーんと そっと 「そろーんと、置け」(そっと置きなさい)

 

せんなか 忙しい 「おばさんは孫の面倒をみていてせんなかでか、ボケる暇ん無か」(おばさんは孫の面倒をみるのに忙しいから、ボケる暇は無い)

いとこのSが教えてくれました。だんだん。

ぞろびく 物やズボンの裾などを地面につけたままひきる  

「そびく」も同じ感じです。

FacebookのKさん、同級生のNちゃん、情報提供だんだん!

さだち 夕立ち  

Facebookで情報をご提供いただきました。Kさん、だんだん!

しこ

〜なだけ

「どがしこ、すれば良かと?」(どれだけすればいいの?)

「しーきるしこ、せろ」(できるだけしなさい)

こんな使い方もあります。

Aさん「Bさんよ、以前から気になってた、1,500円のプレミアムハンバーガー、食べてきたぞ」

Bさん「1,500円のしこ、あったかな?」(1,500円分の価値はありましたか?)

Aさん「んにゃ、なかった」

しゃなべる 楽にする、脚を伸ばす 「読経は終わったで、もうしゃなべろな」(もう読経は終わりましたから、脚を伸ばして楽にしてください) 同級生から教えてもらいました。
すわれ アリ 「すわれに噛まれた」(アリに噛まれた)

いとこから「すわれって呼んどったよね」と問われ思い出したんですけど、他に使ってた方いらっしゃいます。

しー 「来とられんしーに電話したばってん、残念がっとらった」(来てなかった人に電話したけど、残念がっておられた)

ひろたん、情報提供だんだん! 「しー」を単独で使うことはないですね。なんとかな人、という時に「・・・しー」と使いますね。 これ、深海町以外の天草で使いますか。

最近、アン・シネという韓国の美女ゴルファーが話題ですね。「あん“しー”ねえ」=「あの人ねえ」となりますね。

からし うるさい、邪魔くさい 「せからしか! まっと音ばこもうせろ」(うるさい! 音を小さくしろ) 「わずらわしい、うざい」的な意味もあります。「しぇからしか」とも発音しますね。
さかんばち 皿(大きな皿) 「刺し身んさかんばちば持ってけえ」(刺し身の皿をもってこい) ばちは「鉢」でしょうか。
そぎゃん そのとおり、そういうふうに 「そぎゃん言わった」(そう言ってた、そんなふうに言ってた) そぎゃん=ほがん。「ほがん言わった」もおんなじ意味になりますね。同じように「そがん」「ほぎゃん」も。「そげな」となると、少々都会の言葉(九州本土の熊本の言葉)に近くなるような印象を管理人は抱いてますが、みなさんはどんなでしょうか。
さる なさる(「する」の丁寧語、尊敬語) 「佐藤先生がさるちゅ」(佐藤先生がしてくださるんだってよ) 「さる」の否定は「されん」になります。が「されん」は別の使い方もします。「やってらんないよ」的なニュアンスになります。
しげっとる 散らかっている 「えらい、しげっとる」(随分と散らかってる)  
しのべる 片付ける 「はよ、しのべろ」(早く片付けろ)  
〜さん、〜さにゃ 〜へ(行く) 「山田さんはどけ行かったと?」(山田さんはどこに行かれたの?) 「熊本さん、行かった」(熊本に行かれた) 「熊本さにゃ」(熊本へ)という変化も使います。
しこる、しこぶる かっこつける 「ほがん、しこんな」(そんなにかっこつけるな) 「シコる」と間違わないように(*^^*)
さしより とりあえず 「さしより、ビール」(とりあえず、ビール) 「とりあえずビール」というビールを商品化すれば、日本で圧倒的にナンバーワンのシェアになる、と言われたことがありますが、どこかの会社が登録商標を持ってると聞いたことがあります。方言と関係ないけど。
しゃー おかず 「しゃーん、少なかねぇ」(おかずが少ないね)

Kさん、情報提供ありがとうございました。

高校の同級生からの情報によると、佐伊津町(本渡市。現在の天草市)では「しぇー」と変化するらしいです。

じゃじゃ 「じゃじゃば、はよ入れろ」(橙を早く入れろ)  
しゅうわい 〜しよう ラグビーしゅうわい」(ラグビーをしようぜ) 収賄」ではありません。念のため。
さるく 歩きまわる 「おめーて、さるく」(大声で叫びながら歩き回る) さだまさしが長崎の成人式のコンサートでこの方言を披露して爆笑でした。
じこもん 利口者、かしこい人物。 「わりゃほんて、じこもんじゃんねえ」(お前はほんとに、かしこいねえ) 「りこうもの」が「じこもん」に変化?
~しまい ~しなければならない。 「こん部屋も掃除ばしまい?」(この部屋も掃除をしないといけないの?」「おう、はよしまいさい」(そう、早くしなくちゃいけない) 

主に疑問文として使うことが多かったと記憶してます。「しまいきゃ?」(しなければいけないのか?)といったバリエーションもあります。 ぷりぷりさん、ありがとうございました。   「深海は食べる所なんもなかで、いやでも作りまい」深海町は田舎で、外食するお店がありません。なので、『なにがあろうと食事は作らないといけない』ことを“いやでも作りまい”と表現した言葉。これはわたしの同級生♀の言葉です。そうやんね、N。

 

「しぃまい」という変化もありますよ。あかねちゃん(表の下を参照)がツイートしてくれました。

しゃこる かっこつける 「ほがんしゃこんな」(そんなにかっこつけるな) 「しこる」「ちゃこる」とも言っていたと記憶しています。
しゅーがる したい 「テニスしゅーがる」(テニスしたい) 同じく、したいという意味を表すのに「すーごたる」という言葉が天草にある。どちらかといえばこの「すーごたる」の方がメジャーであるように思う。思うに、しゅーがるはすーごたるの進化系ではないかと思うのだが。
じゅぐっしょ 果物が熟れきった様子。またはその果物。 「じゅぐっしょんほうがうまかねえ」(熟れきった方がおいしいね) 僕の記憶では柿の熟れきったものにしか使っていなかったのですが、果物一般に使う表現なんでしょうか。どなたか教えてください。
スココタ カワハギ。 「スココタは口のこまんかねえ」(カワハギは口が小さいねえ) スココベ、スッコベーという地域もあるらしいですね。(YURIちゃん、ありがとう!)
ずんだるる だらしなくなる 「ほがん、ずんだるんな」(そんなにだらしなくなるな) 共通語(標準語)に訳すのは難しいですね。最もわかりやすい例とすれば、最近の男子高校生のゆるんだズボンのはき方ですね。 「ずんだれた」=「だらしない」
せしかう 手伝う。加勢をする。 「今度帰省すっとさな(今度帰省するんですよ) 「ばー、ふんなら嫁ごはせしかうとに、きつかろわいね」(わー、だったら嫁さんは手伝うのに忙しいね) 深海魚さん、ありがとうございます。
せっけじょ 説教場 「お父さんは?」(お父さんは?) 「せっけじょにいたとらる」(説教場に行っておられる) これは天草の言葉とは言えないかもしれませんが、「せっきょうじょう」と「せっけじょ」では発音がかなり違うので、懐かしさも含めて載せました。
ずんばり めいっぱい 「バケツに水ばずんばり汲んどけ」(バケツに水をめいっぱい汲んでおきなさい) 深海初のトライアスリートさん、ありがとうございました。
せんばん ~しなければならない 「こりばせんばんと?」(これをしなくてはいけないの?)「おう、せんばんとさい」(そう、しなくてはいけないんだ) 「せんばんときゃ」(しなければいけないのか?)、「せんばつまらん」(しなければならない)といったバリエーションもご紹介します。 Dさん、ぷりぷりさん、ありがとうございました。
じご おしり じごんすのかゆかっさい」(お尻の穴がかゆいんだよ)

「じご」の「す」。ということは、「す」とは穴を意味するのか。

【追記】2019/12/29

福岡のローカルテレビ番組で福岡県田川の方言として「ごのす」がお尻の穴として紹介されてた。バカリズムと小峠(福岡県出身)が「なつかしい言葉」と、ふたりでゲラゲラ笑ってました。この、ごのす はきっとじごんすと同じ源流ですよね。

じゃる そうである。~である。 「女は女らしゅうせんばつまらんとさい」(女性は女性らしくなければだめなんだよ)「じゃーる!」(そうだ!) もちろんナショナルフラッグシップの日本航空のことではない。「じゃる」には活用形がたくさんある。「じゃいねえ」(そうだねえ)、「じゃっとさい」(そうなんだよ)、「じゃっとばえ」(そうなんだってよ)、「じゃっとさな」(そうなんですよ)等など。それぞれニュアンスの違いに注目(完全にリストアップ・表現できているわけではないが)。
しかぶる (オシッコ、うんこを)漏らす。 「しかぶってしもた」(漏らしてしまった)  
せらる なさる。「する」の尊敬語。 「先生はわっかころどもこも勉強せらったっちゅ」(先生は若い頃とても勉強なさったらしい)  
ぜしたい 絶対 「ぜしたいわするんなぞ」(絶対忘れるなよ) 「ぜしと」も使われる。
しーか すっぱい 「しーかみかん」(すっぱいみかん)  
しょて 昔。以前。   父から教えてもらいました。大人たちが話していたのをかすかに記憶している程度です。
じゅっかり 水たまり   「じゅったんぼー」とも。
さばく 髪を梳(と)く 「髪の毛ば、さばかんばー」(髪の毛をとかなきゃ)  
じゅる 吸い上げる   んー、共通語(標準語)に訳すのは難しいです。焼き魚とか、魚の煮付けを食べる時、身のついた骨を口に入れ、じゅうじゅう吸って食べることないですか。それが「じゅる」です。魚に限らず、同じような食べ方をすることを「じゅる」と表現します。 「しゅーる」と言う地域もあります。
しとらす 〜していらっしゃる 「小渕大臣は、まだ大臣ばしとらす」(小渕大臣は、まだ大臣の仕事をしていらっしゃる) シトラス」(柑橘類)ではありません。(* ̄∇ ̄*)エヘヘ 「しよらす」も同じ使い方をします。
しょんべんたんご 小便、大便などの入れ物。トイレ。   広島に「正弁丹吾」という飲食店があります。創業された方の本を読んだら、「人は毎日必ず小便をする。毎日、いつでもお店にお客様に来てほしい」という思いから店名を考えた、ということが書いてありました。名前の割には超高級店だそうです。
そがしこ それだけ   こそあど言葉です。「そがしこ」の他に「こがしこ」「あがしこ」「どがしこ」。
しーきる、しきる (何々することが)できる 「しーきるしこ、すっで」(できるだけやるよ) 「しーきる」は「しきる」とも言います。「きる」は、他の動詞とくっつきます。「自転車に乗りきった」(自転車に乗ることができた)というふうに。
       

 

 

 

 

 

吉本隆明 『言語にとって美とはなにか』の読み方

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