熊本県天草地方の言葉を紹介すっぞ(紹介しますよ)

天草の言葉(方言)やら、風やら海やらを語り合いましょう。皆様からも天草の言葉の情報をお待ちしてます。

天草の言葉 「たちつてと」篇

天草の言葉、「たちつてと」です。

 

言葉 意味 用例 補足
ちょいちょい バカにする感じ。相手が生意気な事を言った後,失敗ごとをしたとき等。 「ちょいちょい、スガくん。なんばしよっと」(こらこら、スガ総●大臣。何してるの?) 同級生のSくんからゆっかせてもろた(教えてもらった)。だんだん。
どんく かえる 「どんくの飛んできた」(かえるが飛んできた) どんくの写真、同級生のS君からもらいました。だんだん。
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どんく
つぁん つまらない、ダメだ 「こりにしゅうかい?」(これにしようよ?)「つぁん」(ダメだ) 多分「つまんない」の省略じゃないのかな、と想像します。
どんどん川 雨がたくさん降って、多量の雨水が流れている川(の様子) 同級生から教えてもらいました。
たまがる 驚く 「どもこもたまがった」(とても驚いた)
つんぐつんぐ おとなしく 「つんぐつんぐ遊んどる」(おとなしく、静かに遊んでる) FBより情報をいただきました。Kさん、ありがとうございます。
たくもん、たきもん 「たくもんば、くべろ」(薪をくべろ)  
づる 出る、出場する 「わりゃ明日、なんにづっときゃ?」(お前は明日、何に出場するんだい?)

たとえば甥っ子に「明日の運動会、なんの種目に出場するんだい?」という感じです。

「出る」と関係する言葉だから「づる」と表記したけど、「ずる」かな?

とぎる 削る、とがらせる 「鉛筆ばとぎる(鉛筆を削る)」 「鉛筆削り」は「鉛筆とぎ」もしくは「鉛筆とぎり」です。Kさん、Hさん、情報ありがとうございます。
ちゃげん、ちゃがや  〜じゃない?  

天草市牛深町(旧牛深市牛深町)の加世浦・真浦というエリアに私の親戚が住んでいたのですが、そのおじ・おばたちが使っていた言葉です。意味や用例は言葉では説明しづらいです。的確な訳語があったら教えてください。同じ市内なのに深海町では使ってませんでした。

【追記】本渡出身の人も使ってた、という情報をいただきました。Kさん、ありがとうございます。

つまらん よくない 「ほがんせんばつまらん」(そう*1しないといけない) 強いて読点を加えるなら「ほがん、せんば、つまらん」です。「つまらん」は「つまらない」と同じでしょう。“よろしくない”くらいに表現したら、共通語としての「つまんない」に通じるかな。
とんとん とても〜 「とんとん、痛か」(とても痛い) 御所浦で使うらしいですが、その他の地域でも使う?
とるる つまずく 「靴ひもんからんでとれたもんじゃっでか、ひざん痛かっさい」(靴ひもがからんでつまずいたので、ひざが痛いんだ) 実際、名古屋空港で用例どおりの事態が起きました。
どべ 最後、ビリ。 「どべにならんごと、はよ走れ」(ビリにならないように、速く走れ) 「~ならんごと」(ならないように)は「ならんごて」「ならんごつ」とも言います。
とごゆる あばれる 「ほがん、とごゆんな」(そんなにあばれるな) 僕の記憶だと、主に子供が騒ぐ、とか暴れるとかいうときに使っていました。今ふと思いついたのですが、“とごゆる”←“とこゆる”←“床揺れる”の変化で、床が揺れるほど暴れるようなことはするな、ですかね。全くの思いつきです。(2015.8.25)
てんじゃ 手伝う 「おりもてんじゃしゅうかい?」(私も手伝いましょうか?) 深海魚さん、情報のご提供ありがとうございました。
だご ゼロ 「昨日はどがしこ釣ったっきゃ?」(昨日はどれだけ釣ったんだい?)「だごじゃったばい」(少しも釣れなかった)  
どがしこ どれだけ 「あとどがしこ持っていけばよかと?」(あとどれだけ持っていけばいいんだ?)  
だるる 疲れる。力が抜ける。 1.「どもこもだれた」(とても疲れた) 2.「米がなくなって、こめってしまった」「ほがんこっば言えば、だるる」(そんなこと言うと疲れてしまうよ) 1の用例は疲れた、2はつまんないだじゃれとかを言われて、力がどっと抜けてしまうようなニュアンスになります。 「だれた」の上があります。
つごんわるか ブサイク 「ありゃつごん悪かねえ」(あいつはブサイクだねえ) 使い方は正確でしょうか? 自信がありません。
〜どみゃ 〜ども 「わっどみゃ、どこんもんか」(お前たちはどこの者たちか?)「おっどみゃ、久玉んもんさな」(俺たちは久玉の者なんです) 「ふろどみゃ、ひゃれ」(風呂でも入ったらどうだい?) 「ふろどみゃ~」の例文は自信がありません。ただ「わっどみゃ~」とは違う用法があったように記憶してます。いずれにしても「ども」だけでは説明が足りませんね。
どんばら 大きな腹    
どもこも とても。非常に。 「どもこもぬっかねえ」(とても暑いねえ) 「どんこん」と発音する場合もあります。「どうもこうも」の転か。
とじんなか 寂しい。心もとない。 「だりもおらんごとなって、とじんなかねえ」(誰もいなくなって、寂しいなあ) 徒然草」のつれづれなしという言葉と同じ意味。徒然を音読するととぜんとなる。とぜんなし、とじんなしときてとじんなかときたのだというのがもっぱらの説。
どぼるる 鉛筆の先のとんがりがなくなってくる 「わが鉛筆、どぼれてきたねえ」(おまえの鉛筆、先が丸くなってきたなあ) 鉛筆に限らない。
とんじゃくなか だらしない。しっかりしていない。どうしようもない。 「わも、とんじゃくなか男じゃんねえ」(お前もどうしようもない男だね) 侮辱的な言葉です。
てや 仲間   同級生のSから教えてもらいました。ありがとう。てや、どし、ほびゃ・・・と、友だちを表す言葉がたくさんあります。
どし 友だち 「おがどしやっとさな」(俺の友達なんですよ) 「同志」の転でしょうか。
ちんぐ 友だち 「ひろしとわりゃちんぐじゃっでねえ」(ひろしとお前は友達同士だからなあ) 韓国でも友達のことをちんぐと言うんだそうです。
ちゃいかす 落とす 「ちゃいかしてしもた」(落としてしまった) 「ひっちゃいかす」と同義ですね。
ちゃいくる 落ちる 「ちゃいけてしもた」(落ちてしまった) 「ちゃいくる」が自動詞、「ちゃいかす」が他動詞ですね。
ちっと ちょっと。少し。 「ちっと寒かねえ」(ちょっと寒いね) 「ちった」とも言います。
ちゃげん 大体の場合 「ちゃげん、ほっでよかっじゃろ」(大体の場合、それでいいはずだ) 発音は「ちゃげん」と「ちゃぎゃん」の間くらいだな。
だんだん ありがとう 「だんだんねえ」(ありがとう)  
つんのんで 連れだって。一緒に。 「ハイヤ祭にゃ、つんのんで行こわい」(ハイヤ祭にはみんな連れだって行こう) 「つんのうで」「つんので」「つんなむ」も同じ意味ですね。「おりもつんなむぞ」(俺も一緒に行くぞ)
だっか おとなしい 「ゆびばじゅる子はだっか」(ゆびをしゃぶる子供はおとなしいもんだ)  
ぢゅる しゃぶる   用例は、上の「だっか」参照
てしょう(ざら) 小さい皿。取り皿。 「ほこんてしょうざらばとってくれい」(そこの皿を取ってくれ) 祖母がよくこの言葉を使ってました。漢字で「手塩」と書くそうです。人によっては「てしお」「てしょ」というふうに変化しているかも。
どろころしとる まあ、どうにかやってるよ 「元気しとたっきゃ?」(元気してたのか?) 「どろころしとる」(まあ、どうにかやってるよ)  関西で有名な挨拶言葉。 「もうかりまっか?」 「ぼちぼちでんな」 の 「ぼちぼちでんな」に該当するイメージです。
てんげ 手ぬぐい、タオル 「はよ、てんげば持ってけ」(早く、タオルを持ってこい) 多分、手ぬぐいからの変化でしょうね。アルファベットで書くと、tenuguiとtenge。
       

 

*1:いう風に

鹿児島弁と深海弁(天草弁)は似ている

鹿児島弁と深海弁(天草弁)は似ています。

 

私も子どものころからそう聞かされていたし、おとなになってから実感することでもありました。

 

昨日、鹿児島に行ったのですが、昼食を食べたお店の箸袋です。

 

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「だれた」「ゆっかして」「じゃっどが」「じゃっど」は、深海でそのまま使います。

「もじょか」も、深海弁の「みぞか」と意味は同じだし、言葉も酷似です。

 

 

地図を見れば一目瞭然。

天草と鹿児島は近いですからね。言葉が近いのもうなずけます。

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更新:田舎の年寄りは、オレオレ詐欺にひっかかることはないぞ!

先日、親族でご飯食べてる時、振り込め詐欺(旧名:オレオレ詐欺)の話題になりました。

 

私の妻:「お母さん(まくでじの母。妻の義母です)はオレオレ詐欺にひっかかることないよね」 その場に居合わせたみんな:「そうだね」
なぜでしょうか。

 

 

天草の年寄りの事情

 

私の妻:「あなた(私、まくでじのこと)、お母さんに電話するときって、オレオレって言わないもんね。『まくでじやばって』だもんね」

 

そう、私が母(母以外も含む、同郷の人たち)に電話するときは「オレだけど」「オレオレ!」なんて言いません。だから、母は電話を受けた時、自分の息子かどうか、迷うことはない、というわけです。

 

あっ、このブログ記事を参考にして、天草の年寄りに方言を使って詐欺をはかろうとしてるやつ。それも難しいぞ。

 

「やばって」の抑揚がわかってないとダメ

「やばって」にはバリエーションがある(「やばってん」「やばってんさな」「じゃばってん」「じゃばってんが」・・・)


などなど、方言しか使わない田舎の年寄りに、息子だとわかってもらえるには高ーい壁があるのですよ。

 

 

薩摩の言葉の噂


その昔、薩摩藩(今の鹿児島)は倒幕のための運動について、自分たちの作戦とか考えが周囲にばれないように、言葉を難しくした(ゆくゆくはそれが方言になった)という説があります。 この説が正しいのかどうか諸説あるようですが、実際に薩摩の言葉が解読が難しいです。

天草は地理的なこともあるのか、その言葉が少しは聞き取れるので困ることはないのですが、それでもハードルは高い。 オレオレ詐欺も倒幕も、言葉の壁という影響力はある、と考えるのが妥当ですよね。

 

 

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方言「だんだん」はありがとうの意味

下の写真、ある居酒屋の箸袋です。

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「ありがとう」という言葉を、いくつかの都道府県の方言で表したものです。
私の故郷、熊本では「だんだん」が紹介されています。

 

驚きでした。

というのも、確かに私の実家周辺の町では、だんだんを使ってますが、使われているエリアは非常に狭いのです。(同じ市内なのに、隣の町では使わない、というほどです。)

 

しかも、県庁所在地から遠く離れた島です。

そこの方言が、熊本を代表する方言として紹介されていたのが、驚きでしたし、うれしいものです。

 

また、山陰で使われているのは知ってましたが、愛媛とか大分でも使われていたんですね。

 

 

05 地球の歩き方JAPAN 島旅 天草 (地球の歩き方JAPAN島旅)

05 地球の歩き方JAPAN 島旅 天草 (地球の歩き方JAPAN島旅)

 

 

天草の言葉 「なにぬねの」篇

天草の言葉、な行です。

 

 

 

言葉 意味 用例 補足
(山の)ねばり 山の麓(ふもと)のあたり 同級生から教えてもらいました。
にき 周辺、そのあたり 「ホタルはどこにおっと?」(ホタルはどこにいるの?)「ひろしが田んにき」(ひろしの田のあたり)
なめる (魚を)食べる 「がらかぶば、なめんみろ」(がらかぶを食べてみろ) 天草の人間は魚を「なめる」ように食べます。
なおる 元に戻る。 「わりゃ、家んなおったっちゅね?」(お前は、引っ越してこっちに戻ってきたんだってね?) この言葉を訳すにあたり感じたことを、別の記事に書きました。
なんさま とにかく。とても。 「なんさま、きれかったばな」(とにかく、きれいだったよ) 「なんさま、ビールば持ってきて」(とりあえず生ビール) 「どもこも」とも同義ですね。高校同級生のHくんのFacebookの投稿からいただきました。だんだん(ありがとう)。
ののこ 袢纏 伯母さんから作ってもらったのを何年も着続けました。
ねんかかる 寄りかかる 「ほがん、ねんかかんな」(そんなに寄りかかってくるなよ) 言葉の響きがいいですね。
にくじ 憎らしいこと(憎事) 「あんひとはいつでんにくじしよんねえ」(あの人はいつもいじわるしてるねえ) 深海魚さん、アドバイスありがとうございました。
にしかむ、にしがむ しかめっ面をする 「ほがん、にしかむな」(そんなにしかめっ面するな)
ぬすけとる ぼんやりしている。うっかりしている。どこか、抜けている。 「あすこん長男は、ほんてぬすけとんねえ」(あそこのうちの長男は、ほんとにボケかましよる) すいません、訳文に関西弁がはいりました。「ボケかます」「歯車がちょっと外れてる」とか「ぼんやりしてる」「なまけてる」などなど、たくさんのニュアンスがあります。 「ぬすけはちたくれ」という言葉、表現がうっすら記憶に残ってます。「ぬすけ」の強調をする言葉だと記憶してますが、間違ってないですか? 深海以外の地域ではどうですか?
ねまる (食べ物が)腐る 「こんキャベツはもうねまっとんねえ」(このキャベツはもう腐っちゃったね) 人のことにも使うことがあります。疲れ果てた人に向かって「ほがんはよからねまんなあ」(そんなに早くから疲れるな) ※サッカー選手、ネイマールとは無関係です(笑)
ぬっか 暑い、ぬくい 「ぬっかよう」(暑いなあ) 「ぬくい」の変化でしょうね。
ぬかる 足がぬかるみに埋まっていく 「足のぬかったばい」(足が埋まったよ) 「ぬかるみ」と同じ語源なんでしょうか。
なして なぜ 「なして、わりゃ、あがんこっばしたっか?」(なぜ、お前は、あんなことをしたんだ?) 「なし」と略すこともあります。
のさる 運がよい 天草高校の同級生たちが提供してくれました。情報提供、だんだん!
のさん どうしようもない 「わりゃ、のさんねえ」(お前はどうしようもないねえ) 「のさる」の否定形?
ねっぱる 盗む 天草市新和町出身の高校の同級生がいつも使っていた言葉です。
なすんば 歯が無い状態のこと 「やっぱ、小学生はなすんばの多かね」(やっぱり、小学生は、歯が無い(乳歯が抜けた)子が多かね) 先日、小学生の運動会を観戦していて、思い出しました。
ぬた 酢味噌 ねぎ、おばいけ(くじらの白身)、キダコ(うつぼ)の湯引きなどを食べる時に使いますね。方言だと思ってましたが、ウィキペディアに普通に掲載されていたのを見ると、方言とはいえないのかも。
なんば 何を 「なんばすっとか!」(何をしてるんだ! と怒っている様子です) Facebookページからコメントいただきました。ありがとうございました。